その理由は少子高齢化である。労働人口が減るだけでなく、高齢化によって介護や医療といった産業に労働力を取られることによって、衰退が加速することは避けられない。
ロボットに期待する向きもあるが、この種の自動化はマンパワーを要し、定型化が難しい産業には不向きである。
もう一つの要因がある。それは「働く」ということを馬鹿にする風潮が更に地盤沈下を加速させていると考えているわけだ。
額に汗して働くことを軽んじる、FIREといった働かない生き方をかっこいいと考えるそんな風潮は衰退を加速するだろう。
日本は実際に働かない国になっていることは数字からも裏付けられている。休んでも生産性が上がればいいじゃないか?といわれつつも、一人当たりのGDPは諸外国に抜かれていっている。休んでもその分生産性は上がっていないのである。
私は子どもに将来「日本という国を出ていっても生きていけるようにしないと危ない」と言ってきた。それもあって、子どもは外国語を習得し、海外で働くようになったので良かったと思っている。
識学の安藤社長はまさしく働かなくなったことが国を衰退させたと考えており、これをどうにかしなくてはならないと発表会では訴えていた。
「ワークライフバランス」を再定義するべきで、まずは「ワーク」があってそれを起点としてライフのバランスとるという考え方である。「ワークライフニューバランス」と命名していた。この命名はスポーツブランドのニューバランスみたいでちょっとあれなのだが、いわんとしていることはよく分かる。
人間というものは働くということがまず第一義で、働くことで生活の糧を得ることができ、それで豊かな暮らしが実現できるという考えである。
昭和といえば昭和な感じもするが、原点回帰というか私としてはまっとうだと思うわけである。
私の両親は自営で飲食業を営んでいるのだが、日々汗を流して泥臭く働いている両親を私はかっこいいと思っていた。そして「働いているから、生きていくことができる」ということを、子供の頃から肌身にしみて感じながら私は育ってきたのである。