実際に筆者が活用するプロンプトは次のようなものだ。
「下記の見解、思考の妥当性を評価してほしい。認知の歪みや論理的矛盾、社会性の欠如は含まれているか?」
「先日下記のようなやり取りがあり、自分はこのように思考、行動を取ったのだが、これらの妥当性を評価してほしい」
このように「自分の考えや行動は一般的に見て妥当か?」と頼むのだ(もちろん、個人情報や機密データの入力は学習されないよう、しっかりマスキングは必要だ)。
今ではほぼズレることはないが、それでも「このやり取りにおいて、あなたはこの点について強く反応した箇所がある」などと指摘してもらえる。なぜそうなったのか?何が問題か?どう解釈すると解決するか?を深堀りすることで解決する。
ちなみに筆者の場合は「あなたは相手の話を自分事として解決しようとするクセがある。相手が深く考えず発言したことや、単なる愚痴でも意図や心理状態を深読みして解決策を出力しようとしてしまう。相手から話を受けた場合は”相談、質問、報告”などに分類し、システマチックに処理するようにしたほうがいい」と言われて目からウロコが落ちる思いだった。
確かに相手が単に聞いてほしいと思った話でも、「問題を解決せねば!」と考えるクセがあったことに気付かされたわけだ。
AIは心理学や論理学に基づいた知見をもとに、冷静かつ正確に思考の歪みを指摘してくれるだろう。人間から言われると腹が立つ指摘も、AIからなら冷静に受け止めやすいという利点もある。
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結局のところ、人生の不幸の大半は「現実そのもの」ではなく、「現実の受け取り方」に起因している。認知の歪みを放置すれば、他人を遠ざけ、チャンスを逃し、未来を狭める。逆に、認知を修正し、より正確な見方ができるようになれば、人間関係も、キャリアも、精神状態も安定する。一生のQOLを決めるのは認知の歪みの質なのだ。
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