●この記事のポイント ・日本発のスタートアップが、東南アジアで商用EV革命を起こそうとしている。eMotion Fleetは、商用EVの導入から運用までをワンストップで支援する。EVの運行状況や充電状況をリアルタイムで可視化・管理できる独自システムを提供。 ・さらに、月額制でEV車両や充電器、ソフトウェアまで一括提供。経済性と脱炭素を同時に叶える仕組みを実現。「アジアNo.1」のEVフリートソリューションプロバイダーを目指す。

 世界の電気自動車(EV)市場は急拡大を続けている。2024年の世界の全新車販売台数に占めるEV比率は22%に達し、販売台数は前年比25%増の1750万台を記録した。国際エネルギー機関(IEA)は、2030年に世界で販売される新車の40%がEVになると予測している。

 特に注目すべきはバスやトラックなどの商用EV市場だ。商用EVの2023年の世界販売台数は約105万台で、2035年には956万台に達するという予測もある。さらに、日本政府は2030年までに小型商用車の電動化20~30%、2040年までにゼロエミッション車100%を目標に掲げている。しかし現状、日本のEV普及率はおよそ2%と、世界の平均を大きく下回っている。

 この格差を商機と捉えるのが、2023年9月に創業したeMotion Fleet株式会社だ。代表取締役社長CEOの白木秀司氏と代表取締役副社長CTOのデニス・イリッチ氏は、前職での国内最大規模の商用EV導入支援の経験を生かし、商用EVフリート(EVの車両群)導入のワンストップサービスを提供するべく同社を共同創業した。

 2025年6月末には、シリーズAラウンドとして2.5億円の資金調達を発表。インキュベイトファンドが主導し、四国電力、九州オープンイノベーションファンド、首都圏ホールディングスが参画した今回の調達は、同社が目指す「アジアNo.1のEVフリートソリューションプロバイダー」への布石だ。白木氏とデニス氏の2人に、話を聞いた。

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