特に、プレミアリーグやラ・リーガの強豪クラブは、過去にアメリカ全土を回る『インターナショナル・チャンピオンズ・カップ(ICC)』など大型ツアーで数万人規模の動員実績もある。英語圏であることやアクセスの良さ、スポンサーや放映権など収益性の高さも魅力だ。
また、2025年のFIFAクラブワールドカップがアメリカで開催されたこともあり、今後アメリカ市場への関心はさらに強まっていくだろう。欧州クラブにとっては、アメリカでの露出がグローバル戦略の中核を担う一方、日本ツアーは規模や収益面で相対的に優先順位が下がっていると言わざるを得ない。

成功の鍵と課題
欧州クラブの来日に際し、現地観戦の熱狂がやや落ち着きを見せる一方で、メディア露出やグッズ販売など周辺ビジネスは依然好調だ。DAZNや地上波による放送、SNSのフォロワー獲得といった「デジタル上の広がり」が重視される傾向が強まっている。
日本国内のサッカーファンにとって魅力的な体験であり続けるためには、価格設定や企画内容の見直しが不可欠だ。市場自体がアメリカへシフトしていく中で、欧州クラブの来日を成功させるためには、スタジアムでのファンサービスや現地クラブとの共演企画、日本人選手との交流など「行って良かった」と思わせる価値提供が必要である。
ビッグクラブやスター選手の来日は、もはや一方的な「見せる興行」では通用しない。Jクラブとの相互発展、地域密着イベントとの連携、そして“見る”から“体験する”へと価値を転換できるかが、成功と失速の分岐点になるだろう。