【2】殺人ピエロ人形が、子役の首を本当に絞めた

 観客を恐怖のどん底に突き落としたピエロ人形の襲撃シーン。実はこれ、演技ではなかった。ロビー少年が邪悪な人形に襲われる場面の撮影中、機械仕掛けの人形が故障し、子役オリヴァー・ロビンスの首を本気で締め上げてしまったのだ。

 監督のスティーヴン・スピルバーグは、あまりの迫真の演技に感心していたが、少年の顔が紫色に変わっていくのを見て異変に気づき、慌てて人形を引き剥がしたという。映画の恐怖と現実の危険の境界線が、極めて曖昧になった瞬間だった。

【3】CGではない!巨大な“回転する部屋”セット

 母親が目に見えない力によって寝室の壁や天井を投げ飛ばされるシーン。これはCGではなく、実際に部屋ごと回転する巨大なセットを建設して撮影された。カメラを固定したままセットを回すことで、まるで彼女が超常的な力で振り回されているように見せたのだ。このアナログな特殊効果は、画面上では見事だったが、何度も撮影を繰り返した女優は「人間洗濯機の中にいる気分だった」と語っている。

関連動画:https://www.youtube.com/watch?v=DGZanwuNO7o

【4】ドリュー・バリモアの落選が『E.T.』を生んだ

 ハリウッドの奇妙な運命のいたずらだ。当時子役だったドリュー・バリモアは、主人公の少女キャロル・アン役のオーディションを受けたが、落選してしまった。しかし、彼女の才能に感銘を受けたスピルバーグは、『ポルターガイスト』と同時進行で企画していた別の映画『E.T.』の主役に彼女を抜擢した。一つの落選が、映画史に残る名作の誕生につながったのだ。

【5】一発撮りの“椅子ピラミッド”

 キッチンの椅子が、ひとりでにテーブルの上に積み上がりピラミッドを形成する衝撃的なシーン。これは高度な特殊効果ではなく、カメラが別の方向を向いている一瞬の隙に、スタッフが猛ダッシュで椅子を積み上げただけという、極めてシンプルな一発撮りのトリックだった。完璧なタイミングとチームワークが生んだ、アナログならではの名シーンだ。