さらに、友情は家族や仕事とは異なり、強制力のない「自発的な関係」です。
努力しなければ、簡単に疎遠になってしまうのです。

また、時間とエネルギーの問題も深刻です。
育児や介護、仕事で疲弊していると、誰かと遊ぶ気力すら湧かなくなります。
「気軽な誘い」が、もはや負担になってしまうのです。
そして何より、パンデミックによる“友情の断絶”が決定打となりました。
アメリカの調査機関「Survey Center on American Life」によると、アメリカ人の「親友の数」「友人と話す頻度」「友人に頼る頻度」以前よりも減少しています。
感染対策のための生活や在宅勤務が、これまでのような偶然の出会いや対面での関係構築を激減させてしまったのです。
加えて、SNSによる錯覚も孤独感を助長しています。
インスタグラムやFacebookでは、他人の「楽しそうな瞬間」ばかりが目に飛び込んできます。
その結果、「他人の友情のほうが自分よりうまくいっているように見えてしまう」のです。
こうした背景が重なって、「大人の友情」は、想像以上に複雑で脆いものになっているのです。
では、この状況を打破するにはどうしたらよいのでしょうか?
大人になってから友達を作る方法
難しく感じることがあるとはいえ、大人になってからも友達を作ることはできます。
ソエイロ博士が提案するのは、“友情は育てるもの”という視点に立つことです。
もう「自然とできる」関係ではなく、努力と工夫で育む関係に変わっているのです。

その第一歩が、「自分から誘う」ことです。
多くの人が「誘われたい」「連絡が来てほしい」と願っていますが、相手もまた同じように“待っている”可能性が高いのです。