参議院選挙が終わった。私自身は、雑感を「The Letter」に別途書いたとおり、日本社会の閉塞感が反映された結果だと受け止めている。

日本社会に蔓延した閉塞感は、現実の裏付けのある現象だ。一朝一夕には解消しない。閉塞した状況に耐えていく気持ちを定めるしかない。

閉塞していない、などと偽りの主張をする政党は、駆逐されていくだけだろう。

政策部分で大言壮語が多いと批判されている新興政党の場合には、「日本は閉塞している、何とかしなければならない」という実直な状況認識にもとづくアピールが、共感を呼んでいるのである。

閉塞を受け止めながら、それでもなお前に進んでいくために、まず立ち向かわなければならない最も直近の議題は、アメリカとの関税交渉だろう。

選挙戦の合間を縫ってベッセント財務長官と会談したが成果は出なかった 首相官邸HPより(編集部)

自民党は、参議院選挙に、2万円給付といういかにも小手先の物価高対策とあわせて、「なめられてたまるか」と叫んだ石破首相の対米強硬姿勢のアピールで臨んだ。結果的に言えば、全く功を奏さなかった。選挙戦中にベッセント財務長官の訪日があったが、万博訪問が主目的だったということで、関税交渉の進展の糸口を見つける努力すら行われなかった。

アメリカとの良好な関係の維持は、自民党の生命線である。長期にわたる日米同盟体制への国民の信頼なくして、自民党の長期政権は生まれえなかった。現在の日米関係の停滞感は、石破内閣への不信をこえて、日本政治全体の停滞感につながっている。