給付金は迅速であり、年内支給が可能で、低所得者層に厚く分配される点で妥当ではあったが、それまでバラマキを批判していた政権の方針転換は場当たり的であるとの印象を与えた。野党からは「税を取って配るより、最初から減税すべきだ」と揶揄された。
こうした給付金や減税策は、海外ではより迅速に実施されており、その背景にはマイナンバーカードと銀行口座の紐付けやインボイス制度の厳格運用がある。これらに関しては公明党は前向きであるが、野党の反対により進展が遅れており、与党への批判に繋がっている。
この1年間で急速に拡大した不満が、外国人労働者や移民、インバウンド観光客の急増に対するものである。欧米に比べれば、日本における外国人の割合は3%程度と少なく、英仏独では15%、米国では不法移民を含めて同程度となっている。帰化者も年間1万人以下であり、難民の扱いに困るような事例もほとんど存在しない。
制度上も、国民健康保険では外国人労働者が若年層中心で保険料の負担以上の医療費を使用していない実態があるが、制度の隙間を突いた悪用事例が反感を買った。日本の制度は性善説に基づいて設計されており、特段の優遇措置があるわけではない。
外国人観光客に関しても、京都市バスに大きな荷物を持ち込むなどの不満はあるものの、コロナ禍で観光客が減少した間に京都市は対策を講じる時間があった。主要寺院が事前予約制を導入すれば多くの問題は解決可能である。
欧州でもオーバーツーリズムは問題となっているが、主な課題は住宅不足であり、日本の観光地ではそのような問題はほとんどない。外国人による不動産取得や投資も、具体的に問題が起きなければ経済上の問題にはならない。
観光客は日本経済に莫大な利益をもたらしているが、「観光に頼るべきではない」あるいは「米不足は外国人が食べるからだ」といった感情的な批判も一部には見られる。
また、「外免(外国の自動車免許)切り替え」に関しても、公明党が国交省を担当しているため中国人優遇の改正が行われたとのデマが流されたが、自動車免許の権限は警察にあり、実際にはそのような事故の原因になった事実もない。