自公の敗因については、石破内閣の発足当初から続く不人気が大きく影響している。発足直後の解散総選挙での敗北はすでに周知のとおりである。その後も内閣支持率(NHK月例調査)は、鬼門とされた2月の日米首脳会談を無難に乗り切った際の44%が最高であった。

外交を得意としない石破首相は、歴代首相のように外交で支持率を稼ぐことができなかった。特にサミットなどの多国間会議で孤立する様子が報道され、トランプ大統領との関税交渉では無為無策という印象を与えた。

内政では、食料品価格の高騰が不人気の一因となった。コメの供給不足を輸入米で補う選択を避けたことで、品薄と価格高騰が発生した。小泉進次郎氏が農水相に就任し、公明党の高橋みつお議員の提案に基づく備蓄米の放出が奏功し、一時的には価格上昇は抑えられたが、政権支持率の回復には至らなかった。

WTOの関税引き下げ交渉において、日本はミニマムアクセスの無税枠を設けたものの、これは加工用などの用途に限定され、それ以外のコメには1kgあたり141円、協定締結時で国際価格の700%、現在でも400%の高関税が課されており、実質的な輸入禁止状態である。

価格急騰時に輸入方針を示せなかったことが、トランプ大統領との関税交渉における日本側の柔軟性欠如として映った。米の自給率100%を守るという姿勢は、食料安全保障の観点から理解はされるが、柔軟性のなさが過大なコストを生んだ。

このような状況で、食料品の値上がりへの対策としては、給付金または減税が選択肢となる。公明党は従来より軽減税率の拡大を主張していたが、実現時期は消費税率の見直しに合わせるという前提が常識であった。しかし、前倒しの可能性も模索されていた。野党もまた軽減税率の恒久化・臨時化の別なく実施を求めていたが、最速でも来年度からの実施が現実的とされた。

石破首相は当初、減税や給付金に否定的な立場であったが、6月13日に突如、参院選公約として「全国民一律2万円の現金給付」、18歳以下の子どもおよび住民税非課税世帯には1人あたり4万円を加算して支給すると発表した。