さらに、「推し」をきっかけに行われる「周辺行動」も「推し活」の範疇に含まれる。例えば、イベント前に新しい服を購入したり、推しの言語を理解するために語学学習を始めたりするといった行動が挙げられる※2)。
この変化は、「推し活」が単なる趣味ではなく、個人のアイデンティティやライフスタイルを形成する重要な要素となっていることを示している※3)。
ファンは「推し」のイメージカラーを身につけたり、ゆかりの地を巡礼したりすることで、自身の生活に「推し」の要素を深く取り込んでいる。これにより、ファッション※3)、旅行※4)、さらには自己啓発※2)といった多様な分野で消費が促進され、ファンと「推し」の間の感情的な結びつきが強化される。企業にとっては、従来のグッズ販売だけでなく、ライフスタイル全体に寄り添った商品やサービスの開発が重要になる。
デジタル化は「推し活」を民主化し、地理的制約や身体的制約に関わらず、より多くの人々が参加できるようにしている※1)。オンラインでのライブ配信や、ファンコミュニティでのオンライン交流会 ※6)、さらにはカラオケ店での「歌わない」鑑賞会プラン※7)など、デジタルプラットフォームは多様な参加形態を可能にしている。
これにより、「推し活」人口が拡大し、コンテンツクリエイターや企業にとって新たなファンエンゲージメントと収益化の機会が生まれている。オンラインコミュニティの発展は、ファンの活動範囲を広げ、多様な交流を可能にしている。
2.3 「推し活」がもたらす経済効果と市場規模「推し活」は単なる個人の趣味に留まらず、巨大な経済効果をもたらしている。2023年には約8,000億円の市場規模とされていたが※8)、2025年1月に実施された最新調査では、推し活人口が約1,384万人に達し、前年比で250万人増加したことが明らかになった※4)。
特に30代前半女性の増加が顕著で、3人に1人が「推し活」を行っている※4)。この結果、日本全体での年間「推し活」出費額は、約3.5兆円という驚異的な規模に達している※4)。