それぞれの参加者には、リーダーの謙虚さを9項目から評価するアンケート(Expressed Humility Scale:EHS)、従業員の心理的安全性を評価するアンケート(Psychological Safety Scale :PSS)、プレゼンティーイズムの程度を評価するアンケート(Single-Item Presenteeism Question :SPQ)の3つに回答してもらいました。
それらをまとめてデータ分析した結果、職場リーダーの謙虚さが高いほど、従業員の心理的安全性も高まり、それがプレゼンティーズムの減少につながっていることが明らかになったのです。

3つの関係性としては、リーダーの謙虚さがそのままプレゼンティーズムの低減につながるのではなく、間に心理的安全性の高まりを介することで、結果的にプレゼンティーズムも減少するというものでした。
単にリーダーが謙虚であるだけで職場のプレゼンティーズムが低下するわけではなく、そのような柔軟なリーダーの存在により醸成された職場のポジティブな雰囲気が、従業員の健康や生産性を向上させると考えられます。
従業員の心身の健康はそのまま会社全体の利益の向上にもつながるため、これは重要な指摘です。
研究主任の松尾朗子(まつお・あきこ)氏は、次のようにコメントしています。
「本研究は現代の多様化する組織のあり方や働き方に関するもので、健康経営はこれからの日本においてますます重要になっていきます。
本研究の結果は、従業員が最大限の力を発揮して仕事を遂行できるような職場環境を整える際の大きなヒントとなるでしょう」
ますます複雑でストレスフルな社会になりつつある今こそ、柔軟に従業員と対応できるリーダーが求められているのかもしれません。