リーダーの「謙虚さ」が、社員の心身の健康を改善し、生産性の向上につながるかもしれません。
東京大学 先端科学技術研究センターの研究によると、リーダーの謙虚さが高まるほど、職場のメンバーが萎縮せずに伸び伸びと発言できる心理状態が促進されるという。
さらに、そうした心理状態の高まりが、従業員の「プレゼンティーズム(presenteeism:疾病出勤)」の減少につながることが見出されました。
プレゼンティーズムとは、従業員が職場に出勤してはいるものの、何らかの健康問題によって十分な仕事ができず、生産性が落ちてしまっている状態を指します。
謙虚なリーダーの育成によって、より健康で生産的な職場環境を作り出せると期待できます。
研究の詳細は2024年3月10日付で学術誌『WORK: A Journal of Prevention, Assessment & Rehabilitation』に掲載されました。
目次
- 現代社会に求められるリーダーシップ像とは?
現代社会に求められるリーダーシップ像とは?
これまでの研究で、プレゼンティーズムは従業員の健康状態や業績を悪化させるだけでなく、会社にとっても余分なコストと利益の損失を生む可能性が示されてきました。
プレゼンティーズムとは「疾病出勤」とも表現され、出勤していても心身の不調を理由に仕事のパフォーマンスが出せない状態を指します。
例えば花粉症で作業に集中できないという状態もプレゼンティーズムに含まれますが、これには精神的な不調も含みます。そして今回注目しているのは、この心理的要因におけるプレゼンティーズムです。
超高齢社会によって労働力人口が不足しつつある現代の日本において、このプレゼンティーズムの予防は喫緊の課題です。
では働き手の健康や業績を高く維持するには、具体的にどんな方策をとるのがいいでしょうか?
研究者らは、職場の衛生状態や食堂メニューの充実といった物理的な環境も大切である一方で、「リーダーの振る舞いや職場の人間関係といった文化的な環境づくりも欠かせない」と指摘します。