「ツークシュピッツェ会合」に先立ち、ドイツは18日の朝、アフガニスタンの犯罪者81人を、過激派イスラム組織タリバンが支配する母国へ強制送還した。ドイツからアフガンへの送還は、タリバンが2021年に実権を握って以降、昨年8月に続いて2度目。「キリスト教民主・社会同盟」(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)の現連立政権下では初めてだ。
メルツ政権は、不法移民対策の強化を看板政策に掲げてきた。今回の強制送還は、カタール首長国との戦略的安全保障パートナーシップの支援を受けて実施された。ドブリント内相は「犯罪者を乗せたアフガニスタンへの送還を新たに手配することに成功した。アフガニスタンへの送還は、今後も安全に実施されなければならない。わが国には、重大犯罪者は居住権がない」と述べた。送還対象者は、法的に国外退去を義務付けられているアフガニスタン人男性だ。
ちなみに、オーストリアは昨年12月、シリア難民の帰還を支援するため、帰国希望者に1,000ユーロの「帰国ボーナス」を提供することを発表した。これは、シリア情勢が変化したことを受け、難民の自発的な帰還を促すための措置だ。カルナー内相は「シリアへの個別送還を継続する。強制送還は行わないが、犯罪者や脅威となる人物は送還しなければならない」と述べている。なお、カルナ―氏はオーストリアのメディアに対して、「ツークシュピッツェ会合は欧州が難民政策においてより厳格になっているという重要なシグナルを送ることになる」と説明し、会合を評価した。
一方、トゥルク国連人権高等弁務官はアフガニスタンへの強制送還について、「すべてのアフガニスタン難民と庇護希望者、特に帰還後に迫害、恣意的な拘禁、拷問を受けている人々の強制送還を即時停止する」ように求めた。また、「国境なき医師団」(MSF)は「欧州は人道の原則から逸脱し、責任を第三者に委ねてはならない」とドイツのアフガン難民の強制送還を批判した。