さて、私が個人的によく知る方々にがんの告知を受けたなど健康を害している方が数名いらっしゃいます。皆さんそれぞれだと思います。内にこもってしまい、全く出てこなくなった人もいれば医者の許可をもらって飛行機に乗って人生を謳歌されている方もいます。がんだと思えないほど普段通りでにこやかに幸せそうに暮らしている方もいらっしゃいます。

がんの告知において重度で回復の見込みがない場合、余命宣告を受けることもあるでしょう。その時に慌てふためくのか、余裕を持って人生の整理をするのか、心理的、精神的に大いなる差があると思います。私もこの歳になってなるほど自分が世界の中心で振り回している限り、後進が育たないなと思うようになりました。

これを継続してお読みの方はお気づきかと思いますが、私も各方面相当幅広く顔を突っ込み、様々な活動をしてきたのですが、数年前から引くタイミングを見ており、既に4,5つのコミットメントを完遂し、バトンタッチをしています。私はそれを人生の簡素化と考えています。ただ、私の場合は社会にコミットする事業や社会奉仕活動は簡素化しつつも、自己完結できる新たなことにステップインしています。つまりたった一人のプロジェクトでこれでこれから花を咲かせられたらうれしいと思います。

安田氏が権限移譲を徹底してほしいと述べていますが、これは私も全く同意です。老害という言葉は好きではないですが、例えばドンキの場合は主たる顧客層が10代、20代だろうと推測する中で時代のトレンドや考え方を創業者が活躍した30-40年前のままで押し通すことなどできないわけです。よって例えばスタッフの身なりにはかなりの自由度を与えたのも同社が初めてだったと思います。

ところが多くの大企業では革新的なアイディアを取り入れ、チャレンジすることができないケースがほとんどです。その多くは「そんなことしたら創業者に何と言われるか」という保守的発想が支配するのです。案外それを恐る恐る創業者に相談すれば「そうしたらええやないか」と言われたりするものです。私が創業家出身の会長の秘書をしていた際、副社長などが報告後に安堵した顔で「ご了解を得られた」と声をかけてくれるのですが、組織が自虐的に硬直化してしまっている証とも言えるでしょう。