消費税で言うと、輸出時に消費税が企業に払い戻される「輸出免税制度」が、大手輸出企業は優遇されている。消費税の還付金額は4兆円で、消費税収の2割の規模と言われている。
また大企業が資本金を1億円以下に減らすことで税制上の「中小企業」になるケースも目立っていて、総務省によると資本金1億円超の大企業が3万社から2021年度に約1万9000社へと減少、著名企業にも資本金を1億円以下にする動きがある。また、タックスヘイブンを活用した「課税逃れ」も行っている。
ルールの中での節税・税金対策なので、それを批判はできないが、ある世界的IT企業のように税法の穴をついて、複雑な子会社間の取引を行う企業もある。さらに、大企業優遇税制による莫大な大企業減税もあった。その結果、大企業の税負担率は法定実効税率30%のはずが、平均の実質負担率の平均は18%となっている(参考情報)。
法人税の税率は企業活動には中立的というのが経済学の基本で、法人税は利益に対する税なので、税率を引き上げても、法人の行動には影響が及ばないと言われている。税引き後利益が減るだけで経済に対するマイナスの効果はないはず。しかし、経済に悪影響を与えるという主張を活用して、大企業は負担を減らしてきた。しかし、労働者の賃金は上がっていない。
労働者と経営者、社内格差
さらに、大企業経営者の報酬の高さだ。経営再建中の日産自動車の前社長の報酬額は4億円近い(前年6億5,700万円)。基本報酬、賞与、業績連動型などから構成される。社長以外で役員報酬1億円以上も5人もいる。社長の給料は、社員の給料の数倍どころか数十倍、数百倍になってしまったわけだ。過去に、社長と新人社員の税引き後の報酬がわずか7.5倍に過ぎないという平等社会日本がいつの間に格差社会になってしまった。
富裕層の株取引への税率引き上げ 所得税・住民税の最高税率引き上げ 金融所得課税 富裕層の資産課税
超富裕層が増加する中で、こうした税制の見直しが求められているはず。アベノミクスで株価上昇で大儲けした人たちが存在したが、トリクルダウンは起きなかった。労働者の賃上げが、各党の共通課題であることからして、賃上げの原資は富裕層に求めていかざるを得ないだろう。