「これは甚だしい誤算だ。2021年12月、プーチンはNATOに対し、1997年の境界線まで撤退するよう求めた。同時に、彼はロシアに軍事同盟への新規加盟を拒否する権限を与えるよう要求した。言い換えれば、旧東ドイツ領土を含む旧ワルシャワ条約機構加盟国に対する権限をロシアに与えることを要求したのだ。彼の目的はウクライナの征服のみではなく、ソ連の復活というビジョンを実現するために、ライバル勢力を排除することにある」
「ウクライナ、あるいはその一部をロシアに割譲せよという要求に屈するのは間違いだ。西側諸国はプーチン大統領の侵略に報い、必要であれば軍事力を用いても、独裁者と決然と戦う能力がないことを示すことになる。そうなれば、中国もそれに追随する勇気を持つだろう。世界秩序の終焉を決定づけることになる」
「トランプ氏は長年、ウクライナ戦争を‘ヨーロッパの戦争‘かのように振る舞い、『1日以内に終結させる』と約束していた。トランプ氏が『プーチン大統領が好戦主義者であり、ナイスガイではないこと』に気付くまでには長い時間がかかった。しかし、トランプ氏はプーチン大統領と距離を置きたくない。そこでトランプ氏は50日間の最後通牒を発したが、それは『プーチン大統領がウクライナで殺戮を続ければ、我々がどうするか見守る』ということを意味するに過ぎない。トランプ氏はこの行動によって、自らの無力さとプーチン大統領の核兵器に対する恐怖を全世界に露呈させている」
「ウクライナの敗北は、それがどのようなものであれ、何よりもNATOの弱点と侵略に対する自衛能力の欠如を露呈することになる。ロシアの攻撃を受けた場合、バルト諸国は他のNATO加盟国全員の防衛に頼ることはできない。たとえそうする義務があるとしてもだ。プーチンは、世界が長らく見てきたハイブリッドなパターンに従い、一歩一歩、この目標に向かって進んでいくだろう。経済的、政治的、武力的な挑発、あるいは人為的に作り出された不安を通じて、バルト諸国の不安定化を試みるだろう。彼は秩序の回復と『ロシア系少数民族の保護』を要求し、密かに事態をさらにエスカレートさせる。プーチン大統領はその後、全てを解決すべく軍隊を派遣するだろう。NATOの介入を阻止するため、クレムリンの指導者は核兵器の使用も辞さないだろう。NATOが反応しなければ、それは終焉であり、プーチン大統領は目的を達成することになる」