こうした傾向は単なる懐古趣味にとどまらず、より深い思想的背景を含んでいる。
「善なる人民 vs. 墜落したエリート」という道徳的二元論 18世紀啓蒙思想と合理主義に対する懐疑 合意形成や制度的熟議よりも、「空気」に従う直接民主主義的衝動 グローバル化による変化の速さに対する戸惑い(特にITや国際化への反発) 問題を“敵のせい”にして排除すればすべてが解決するという魔女狩り的思考
こうした背景意識を持つ層にとって、自民党のような最大公約数型の合意形成はまどろっこしく映る。さらに、公明党のように古典的な民主主義の枠内で地道な問題発見・制度設計・予算制約を尊重する政党も敬遠されやすい。維新が掲げる「減税と自己責任」のスタイルすら、ポピュリズムの情念には応えきれず、沈没を余儀なくされた。
立憲民主党は政策評価では振るわないものの、共産党との協力によって議席を増やす見通しである。共産党自身は縮小傾向にあるが、着実に立憲を内部から影響下に置きつつあるのかもしれない。
そして、国民民主党は、「現役世代の手取り増加」という支持を得やすい政策を、財政規律上のコスパを度外視した形で展開し、いわば“禁断の果実”を食べることで躍進したとも言える。
参政党と保守党が石破ではなく自民党保守派を“粛清”? 食料自給率100%という参政党の農業政策の非現実性 参政党の憲法改正案は世評ほど過激でないが建設的でない 参政党の経済社会プランは共産党が目指すところに近い 参政党と日本保守党の歴史観はこんなに違う 公明党・岡本三成ファンドと参政党・松田学プラン:二つの財源構想を比較する 参議院選挙序盤の情勢から不振な党・伸びる党の勝因敗因を考える 参議院選挙でどう投票すれば日本は良くなるか