「教育の立て直し」「国を守る」「命を守る」といった、短くて強いスローガンを掲げ、政治不信や不満の感情をすくい上げている。政策の具体性は乏しくとも、「今の政治はどこかおかしい」と感じている層には十分に訴求力がある。特に、「反グローバリズム」「反コロナ対策」「真実を暴く」といった語彙は、既存メディアや制度に対する違和感を持つ若年層と親和性が高い。
2. SNS戦略・YouTube等による情報の浸透
街頭演説や討論動画をYouTube・TikTok等で拡散する手法により、新聞やテレビでは政治情報を得ない層へのリーチを実現。特にアルゴリズムによって推奨される政治系動画を通じて、既存政党に比べてはるかに高い浸透力を獲得している。
3. 現状不安に対する「精神的安全保障」の提供
医療、ワクチン、食の安全など、科学的根拠には乏しいものの、誰でも理解できる「不安」と「解決策」をセットで提示するスタイルは、特に子育て中の親世代に響く。子どもを守りたいという本能的願望に訴えることで、「非科学的でも感情的には納得できる正義」を演出している。
4. ノスタルジーの政治化
外国人増加への不安や、「無駄な支出の多い社会」という語り口が、「かつては良かった日本」という印象と結びつきやすい。参政党は「再公営化」「農業支援」「教育の再生」など、素朴で保守的に見える提案を通じて、現役世代が抱える閉塞感に共鳴を試みている。
だが実際には、公営事業の非効率、農協を通じた高額な農薬・機械代の負担、国際価格と乖離した農産物価格、談合による不透明な公共調達など、「昔の制度」が若年世代にとって利益をもたらす要素は何もない。むしろそれらは、改革対象として批判されてきたものだ。輸入食品の方がよほど安全なのだが、有機農業中心で食料自給率100%を目指すといった主張も、現実味に乏しいが安全な食品が食べられるなら我慢すると意識させる。