この買収提案劇、小説にできると思ったぐらい盛り上がったのに最後の結末があまりにもあっけなく、個人的に至極がっかりしました。私はクシュタールがセブンの取締役会に送り付けた長い英文を全部読みました。読んでいてムカついてきたのです。「クシュタールよ、君たちはひろをコンサルで雇うべきだったな」と。クシュタールは日本市場の特殊性を全く理解しておらず、ケベック州の井の中の蛙企業がアジア企業にちょっかい出してみた、ぐらいのレベルでした。つまりクシュタールにセブンを買収するだけの能力も知恵も知識も見識も良心も何もナッシングだったのですね。
ではセブン。これも酷かったと思います。アメリカと日本で行われた買収提案の会議。共にごくわずかな資料が開示され、セブンの責任者は手持ち資料を読み上げただけ。DONE。これを「典型的日本式」でこれを理解しないのはクシュタールの不勉強という意見は頂けず、セブンは珍奇なMBO案を含め、とにかく上へ下への大騒ぎで大企業としてあまりにも無残、無防備、無能でした。穴の開いたパンツを履いていてそれが相手にみられたようなものです。
クシュタールの買収提案引き下げでセブンの株価は2日間で2230円台からほぼ300円、13%程度下げています。この先、もう一段の下げがあるかもしれません。それはライバル2社の追い上げがより現実化するからです。日販ではまだセブンが差をつけていますが、追い上げる側の勢いが違います。多分、企業体質の問題で、セブンはコンビニができた時からずっとトップなので殿様商売で乱世にも動じず、「芸子を呼べ、今宵も楽しく飲むのじゃ」の体質が抜けないのだと思います。セブンのファン層は外資に取られなくてよかったと思っているかもしれませんが、案外「しめた!」と小躍りしているのはライバル2社ではないかと勘繰っています。
外国人による不動産取得規制 日本は緩すぎ
20年前なら外国で不動産を買うのはあまり問題にならなかったと思います。私はバンクーバーのダウンタウンのど真ん中に1.7ヘクタールのマリーナを所有運営していますが、この海は完全に私有。今ではもちろん許されない所有形態ですが、100年もの当該土地(海)の所有者の歴史で私有地として受け継がれてきたため、英語でいうgrandfather (適用除外)で極めて珍しいケースになっているのです。カナダ政府は悔しいでしょうね。だって外国人が海を持っているのですから。