人類史を振り返ってみれば、儀式と称して、残酷な処刑が数々行われてきました。
その中で最も悪名高い儀式の一つに、「血のワシ(blood eagle)」と呼ばれるものがあります。
これは中世ヨーロッパ時代にヴァイキングが行なった儀式と伝えられていますが、実は、本当にやっていたのかどうかは今もって分かっていません。
しかし米シカゴ大学(University of Chicago)による2022年の研究で、実際に「血のワシ」は実施可能であったことが示唆されました。
一体、どんな儀式なのか?
あまりにも血なまぐさいので、この先も読まれる方はご注意ください。
研究の詳細は2022年1月に同大のプレスリリース『University of Chicago Press Journals』に掲載されました。
目次
- 「血のワシ」とは、どんな儀式なのか?
- 「実行可能だが、生贄はすぐに死んでしまう」
「血のワシ」とは、どんな儀式なのか?
「血のワシ」に関する考古学的な証拠や、あるいはヴァイキング自身の記録は一切見つかっていません。
それが記録されていたのは、スカルド詩とサガの中の記述のみです。
スカルド詩とは、9〜13世紀ごろの北欧(特にスカンディナヴィアとアイスランド)で読まれた古ノルド語による韻文詩のこと。
サガ(サーガとも)は、中世アイスランドで成立した古ノルド語による散文作品群の総称のことです。
その方法はきわめて残酷で、まず、犠牲者を生きたまま台座の上にうつ伏せに寝かせます。
次に、鋭い刃物で背中を開き、脊椎から肋骨を切り離します。
そして、左右の肺を引きずり出し、まるでワシの翼のように広げるというのです。
その配置および、肺が最後にひらひらと動く様子が翼の動きに似ていることから、「血のワシ」と呼ばれるようになりました。
こちらはスウェーデンのゴットランド島にあるヴァイキング時代の石碑で、上から3段目に「血のワシ」が図像が記されています。
