さらに、これほど高い輝度を発揮しながらも、性能の劣化が非常に遅く、輝度が初期値の半分になるまでの時間(寿命)は22000時間以上にも達しています。

つまり、一度点灯すれば、約2年半もの間、輝度が半減することなく安定して明るさを保てるのです。

これら一連の実験成果は、量子ロッドLEDの緑色発光が抱えていた長年の課題を完全に打ち破るものでした。

では、これほどまでに優れた性能を発揮できた本質的な理由はどこにあるのでしょうか?

超高輝度LEDがもたらす未来――スマホからVRまで広がる可能性

超高輝度LEDがもたらす未来――スマホからVRまで広がる可能性
超高輝度LEDがもたらす未来――スマホからVRまで広がる可能性 / Credit:Canva

今回の研究によって、「量子ロッドLEDが次世代のディスプレイ技術として、これまでの課題を乗り越え、実際に実用化される可能性が十分あること」が示されました。

従来のディスプレイでは、理論的には実現できても、実際のデバイスとして製品化する段階で効率や寿命の問題に悩まされることがよくありました。

しかし、この量子ロッドLEDは理論的に優れているだけでなく、実際に高効率で非常に明るい緑色の光を安定して放つことができるという点が大きなブレイクスルーとなっています。

特に重要なのは、この技術が実現した色の再現性の高さです。

今回の量子ロッドLEDは、515〜525nmという波長の緑色光を非常に純度高く発することが可能で、この波長帯は色再現領域の中でも特に重要な色です。

人間の目にとって緑色は、鮮やかさや自然な色彩感覚を司る中心的な色であり、この色の純度が上がることで、テレビやスマートフォンのディスプレイで表現できる色の幅が飛躍的に広がります。

つまり、今後のディスプレイは、現実世界の色に極めて近い映像を鮮やかに再現できるようになるでしょう。

さらに、明るさと寿命という二つの重要な要素においても、この量子ロッドLEDは従来の技術をはるかに凌駕しています。