たとえば郵政。再公営化が視野に入っているようだが、民営化前の郵便貯金・簡易保険は、財務省の監督外で不透明な運用が行われ、金利競争や裏金流用で異常に肥大化した過去がある。それを「復活」させようというのは暴論に等しい。
本稿の本題である農業政策もまた、深刻だ。
参政党は「2050年までに食料自給率100%を目指す」としており、有機農業への全面移行も掲げている。だが、どの作物をどれだけ生産すれば可能なのか、具体的な方策は示されていない。
AIに設問を変えながら何度も尋ねても、現実的なプランは「見つからない」としか返ってこない。
有機農業の拡大には私も賛成だが、全面移行は無理がある。実際、スリランカの失敗例がある。政権が一気に有機農業に転換しようとした結果、土壌が疲弊し、病害虫が広まり、食糧危機に陥った。
さらに、農協解体に反対する根拠として「郵政民営化の失敗」を挙げているが、民営化で預金が民間金融機関に流れたのを「17兆円が消えた」と主張するのは、事実に基づかない印象操作である。
農協は非効率な兼業農家モデルを温存し、機械や農薬を過剰に売りつけ、農家の本業たる給与所得からも搾取する構造を作っている。
さらに、農業従事者の「公務員化」まで唱えているが、まるでソホーズ(旧ソ連の国営農場)やコルホーズ(集団農場)を思わせる。
仮に本気で「食料自給率100%」を2050年までに実現したいなら、どんな手段があるのか。AIですら思いつかないというので、私なりに極論を並べてみた。
「食料自給率100%」を達成するための“極論”4案
人口を江戸時代並みに3分の1に減らす 参政党は反ワクチン・反製薬的な発信も多い。標準医療を否定すれば、感染症の流行で自然と人口は減るかもしれない。 昆虫食・合成食料・水耕飼料で飢えをしのぐ 石油やミネラルから飼料を作り、ドングリやコオロギ、芋を食べて生き延びる。水耕農業の海上拡張なども構想に入るか。 農業を完全に工業化する 遺伝子改良と垂直農法で生産性を爆上げ。しかし、自然農法好きの参政党支持者には受け入れられないかもしれない。 新たな領土の獲得 オーストラリアの半分を分けてもらえば可能かもしれない。現実性は皆無だが、理屈としては成立する。
いずれにせよ、莫大な財政支出と貿易制限、補助金漬けが必要になり、米国をはじめとする各国の報復は避けられない。