参政党が大きく議席を伸ばす可能性があると言われている今、その主張をあらためて中立的に検討するために「参政党三部作」を書いた。

テーマは以下の三つだ:

参政党の経済社会プランは共産党が目指す国家像に近い 参政党と日本保守党の歴史観はこれほど違う 参政党の憲法改正案は、評判ほど過激ではないが、建設的でもない

私の評価としては、参政党のような考えを持つ政党が少数存在するのは、政治的多様性の観点からも悪いことではない。れいわ新選組や日本保守党よりは、はるかにまともである。

また、憲法や国民主権に対する批判の一部には、揚げ足取りの印象すらある。

たとえば「参政党は徴兵制を主張している」という噂があるが、これは東京選挙区の候補・さや氏が「徴兵制は…すごく大事」「核武装が最も安上がり」と語ったことをもとに、SNSで流布されたものである。

しかし、さや氏自身が明確に「導入すべき」と述べたわけではないし、党の政策文書にも徴兵制についての記載はない。単に「国を守ることの大切さ」に一般論として触れたにすぎず、文脈を外れた一人歩きの印象が強い。

さや氏 吉川りな氏Xより

ちなみに、憲法で徴兵制が禁じられているという通説に疑義を示した現職政治家は、鳩山由紀夫氏と石破茂氏くらいである。

経済政策に関しては、参政党は積極財政を唱えてはいるが、財政規律を完全に無視しているわけではない。

松田学氏の「松田プラン」は、「公明党・岡本三成ファンド」との比較でその独自性を論じた(拙稿「二つの財源構想を比較する」参照)。

しかし、問題は、守旧的な勢力が参政党に流入し、時代錯誤な政策を持ち込んでいる点にある。

市場経済や自由貿易のメリットを軽々しく否定し、国際的な報復を招きかねない排外主義的政策を掲げる姿勢は危うい。

一般国民を農協、郵政、公共事業といった利権団体の餌食にし、まるで中南米型の社会主義国家のような構造を目指しているようにすら見える。