3つの巨大市場の交差点に位置。プライバシー規制などが懸念

 MNTNが事業を展開する領域は、パフォーマンス広告市場(2025年米国予測:2854億ドル)、従来型テレビ広告市場(同:約500億ドル)、そしてCTV広告市場(同:334億ドル)という3つの巨大市場の交差点に位置している。

 当面のサービス提供可能市場(SAM)を、米国のSMBだけでみても600億ドル以上と推定している。現在の市場浸透率はわずか0.2%にすぎず、コア市場だけでも広大な成長余地があるとする。

 一方でリスクもある。上場時の目論見書では下記3点が特に詳述された。

** 広告付き動画配信サービスへの依存 ** : MNTNのビジネスは、広告付き動画配信(AVOD)サービスの継続的な成長に大きく依存している。NetflixやAmazon Primeなどが広告付きプランを導入し、市場は拡大しているが、このトレンドが陰りを見せればMNTNの成長も影響を受ける可能性がある。

** データプライバシー規制の強化 ** : CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)に代表されるようなデータプライバシー規制は、MNTNの強みである学習に基づく精緻なターゲティングに影響を及ぼす可能性がある。

** 大手テックとの競争 ** : GoogleやAmazonのような巨大プラットフォーマーが、CTV向け広告の市場により積極的に参入してくるリスクは常に存在する。

 テレビ広告という巨大なアナログ市場に、デジタルマーケティングのメスを入れたMNTN。同社が切り開いた「パフォーマンスTV」という新たな市場が今後どのような広がりを見せるのか注目したい。

(文=干場健太郎)