携帯電話やSNSが普及した現代において、人が忽然と姿を消すことは稀になった。テキストメッセージ、ボイスメール、あるいは愛する人への最後の通話。そこには何らかの痕跡が残される。だが、その痕跡こそが、遺された者たちにとって悪夢の始まりとなることもあるのだ。
ここでは、失踪する直前に残された恐ろしくも悲しい6つのメッセージを紹介する。
1. 誘拐犯との会話が記録された少女:アンバー・タッカーロ
2010年、カナダの先住民族ミキソークリー族のアンバー・タッカーロ(20歳)が、エドモントンへ向かうヒッチハイクの最中に行方不明となった。彼女が最後にかけた電話は、偶然にもエドモントン更生センターに収監されていた兄へのものだった。そのため、通話内容が録音されるという皮肉な結果になった。
録音には恐怖に震えるアンバーの声と共に、正体不明の男の声が記録されている。男が「正しい方向に向かっている」と安心させる一方で、アンバーは「絶対に変な所に連れて行かないでよ」と懇願する。警察はこの17分間の通話記録の一部を公開し、男の身元特定に協力を求めた。しかし、ずさんな初動捜査(一時的に行方不明者リストから削除、遺品を破棄するなど)もたたり、有力な情報は得られなかった。音声公開から4日後、アンバーは遺体で発見された。録音された男の声の主は今も特定されていない。
2. 犯人の監視下で送られたSOS:フラウケ・リープス
2006年6月、ドイツ・パーダーボルンで看護学生のフラウケ・リープスが友人との夜の外出後、行方をくらませた。パブから自宅までの1.5kmを歩き始めた時、彼女の携帯電話の充電は切れていたが、その後「帰りが遅くなる」というテキストメッセージをルームメイトに送っている。
続く数日間、彼女はさらに5回ルームメイトに電話をかけたが、自分の状況についてはほとんど語らなかった。そして、最後の電話は姉につながった。姉が核心を突いて「誰かに捕まっているの?」と尋ねると、フラウケは小声で「うん」と答えた。しかし、その直後に大声で「ううん!」と強く否定したのだ。そして電話は切れた。犯人の監視下で、必死にSOSを送ろうとしたのだろうか。電話の発信地はパーダーボルン郊外の工業地帯と特定されたが、彼女の遺体は森の中で発見され、事件は未解決のままだ。