しかし、ボランティアと労働の境界は時に曖昧です。以下のような条件に該当する場合は、労働基準法上の労働者となる可能性があります。その場合は賃金の支払いが必要ですし、労災保険の対象にもなり、労働時間の制限もかかってきます。
1. 活動日時の指示があり、諾否の自由がない 2. 活動時間の延長や予定外の活動指示がある 3. 指揮命令違反や欠勤・遅刻に対する制裁がある 4. 一般の労働者と明確に区分されていない
特に高校生が労働者と認められた場合、18歳未満は労働基準法上の「年少者」に該当し、特別な保護規定が適用される点にも注意が必要です。
安全面とハラスメント防止の観点から
高齢者支援活動を行う際には、安全面とハラスメント防止の観点からも十分な配慮が必要です。
介護現場では、利用者である高齢者が介護職員にセクハラやパワハラに及ぶ場合があることが問題となっていますが、レンタル高校生でも同様の危険が考えられます。
このようなリスクを回避するための工夫として、以下のような対策が考えられます。
ハラスメント防止のための対策 ・複数人での訪問:必ず2人以上のチームで訪問し、単独での活動を避ける ・個人情報の取扱い:個人の携帯番号やLINEは教えない ・事前研修の実施:ハラスメントの具体例や対処法について事前に研修を行う ・教員の同行:特に初回訪問時には教員が同行する ・報告体制の整備:不快な言動があった場合にすぐに報告できる体制を整える ・活動範囲の明確化:どこまでの支援を行うのかを事前に明確にする
高齢者との適切な関係性構築 ・活動の趣旨説明:教育活動の一環であることを高齢者に丁寧に説明する ・活動時間の制限:1回の訪問時間を適切に制限する ・定期的な振り返り:高齢者と高校生双方に活動の感想を聞く機会を設ける ・相互理解の促進:世代間の価値観の違いを理解するための事前学習を行う ・過度な依存関係の防止:特定の高齢者に特定の生徒が継続的に訪問することを避ける