公共事業については削減の方針は見られず、むしろ維持・拡大を掲げ、過剰な民営化の見直しにも言及している。結果として、採算性の低い公共事業が増加し、談合や政治利権の復活といった懸念もある。

郵政民営化に否定的な立場から、再公営化の可能性を探っているようにも見えるが、民営化以前の郵政事業には、サービスの悪さや財務省の規制を回避した不透明かつ反社会的な運用が少なからず存在していた。それを正当化するのは問題である。

水道事業への民間、特に外資系企業の参入に対して否定的な立場を取っているが、高度技術が求められる現代の水道事業において、有能な企業を排除すれば、国民にとって大きな損失となり得る。なぜなんらかのかたちの民営化が必要かを理解していない。

こうした懸念に対し、「外資に金が流れるくらいなら、日本人同士で多少不公正で価格が高くてもよい」といった意見も支持層には見られるが、市場経済のメリットを過小評価していると言わざるを得ない。

何より、高度成長期において、公共事業や農業、郵政に多額の無駄な支出が可能であったのは、世界最強の輸出産業という「寄生先」が存在したからにほかならない。現在の日本に、そのような産業は存在しない。

今後有望な外貨獲得手段といえば、観光や外国人による不動産投資程度だが、参政党はこうした分野さえ排除したいとする。そのため、今後はいっそう無駄な支出が許されない状況になる。

外国人労働力についても、特殊技能を持つ者は歓迎する一方で、単純労働者は排除するとしている。しかし、実際には日本人が担いたがらない分野を外国人が支えている現実があり、単純労働の制限は、社会サービスの質の大幅な低下を招くのは避けられない。

財源については、当面はインフレを抑制しつつ国債の増発によってまかなう方針のようだが、成長の見込めない経済モデルと財政赤字の拡大を市場が容認するとは思えない。

松田プランによる財源確保については、別稿で論じたとおりだが、構想としては興味深いものの、限定的な試行によって有効性が確認されるまで、その効果を楽観視するのは尚早である。