日本でも、いよいよ欧州同様に、既成政党対大衆政党という構図が現われ、これがエネルギー・環境政策の分野でも鮮明になるのかもしれない。

欧州で既成勢力が大衆政党に対して「極右」「陰謀論」などのレッテル貼りで対抗したのと同様のことを、日本の既成政党やメディアが行っている。しかし欧州の例が示すとおり、そうしたレッテル張り攻撃では、生活に直結する不満の高まりを抑え込むことはできないだろう。それどころか、「国民の声を聞かない傲慢な政治」という不信感を強める結果にもなりかねない。

参政党が躍進すると、日本の脱炭素政策に、どのような影響を与えるだろうか。まず重要なことは、国会で本格的な議論が行われるようになるということだ。これまでタブー視されてきた「コストに見合う効果があるのか?」という根源的な問いが、ようやく政治の場で本格的に取り上げられるかもしれない。

参政党の神谷宗幣代表は今年3月の参議院財政金融委員会で「日本の排出は世界全体の3%に過ぎない。150兆円もの費用をかけて気温が0.006度しか下がらないのに『脱炭素』を進めるのか」と政府をただした。政府側(鈴木俊一財務相)は「国際社会の一員として気候変動対策をやるべきだ」と従来通りの答弁に終始したが、この質疑はメディアでも取り上げられ、ネット上でも話題となった。

脱炭素政策そのものの是非を正面から問い直す政党が国政選挙で台頭するとしたら、日本ではこれが初めてとなる。劣勢に立たされた既成政党の中でも、保守的な勢力にとっては、脱炭素政策の是非を真剣に問い直すよい契機になるだろう。参院選の結果はどう出るだろうか。

『データが語る気候変動問題のホントとウソ』