問題はそんな発言を職場でしてしまうことにある。職場は結果と給与を交換する場であり、労務サービス提供者側は権利を主張できるのと同時に、結果を出すという義務を履行することが求められる。
「プライベート優先」を思うのは自由だが、口には出さない方が良い。理由はデメリットしかないからだ。たとえば自分についた担当者が「プライベート優先なので」と言って途中で仕事を放棄したら「それでは困るので他の人に替えてください」となるだけである。替えがなければ他社に移られ、発言者は自社の立場が危うくなるだけである。
プライベートを尊重することと、職務上の責任を果たすことを両立できていないと見なされるリスクを抱える。お金を払う顧客からすれば、相手のプライベート優先度は関心事ではないのだ。
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明らかな差別発言などとは異なり、本稿で取り上げた発言は実際に自分も見聞きしてきた「油断するとつい口から出る一言」ばかりだ。だが言葉は口から出した瞬間に取り消すことは不可能で、一生相手の「相手から言われた言葉履歴」に残り続ける。特に仕事は「信用」という資産を使うゲームなので、発言には本当に慎重になった方が良いと思うのだ。
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