健康不安説は最近に始まったわけではなく、肝臓腫瘍、膵臓癌、脳梗塞…といった噂はずっとあり、上記のBRICS欠席理由を「航空機による長い移動の負担が大きい」といえば確かに健康不安説に頷きやすい気がします。ただ、習氏は政治活動をしており、公の場から長いこと消えたわけではありません。ただ、行動が淡白になった気がするのです。
例えば日本と現在関係改善が進んでいます。この解釈についてはトランプ氏が大統領になった時点で中国は日本を取り込むだろうとされていました。私もそう意見しました。その中で石破政権のベクトルが中国と組みしやすいとみられるため、加速度がついているというのが私の見方です。では習氏の本心はどこにあるのか、といえばアメリカともっと敵対し、「目には目を、歯には歯を」の激しい抵抗をするはずなのに中国外務省の報道官もかなり控えめなスタンスに見えるのです。
とすれば私は健康不安説ではなく、失脚説のほうが正しいのではないかという気がするのです。特に7月7日の抗日イベントの行動は明らかにおかしいのです。BRICSを欠席する理由が抗日イベントと日程的に重なるからだとすればサイドラインの場所にひっそりと献花しに行く理由は見いだせないのです。
失脚説の根拠は軍部を中心としたさまざまな不正疑惑と幹部の解任や「行方不明」で一部では既に人民解放軍の主導権を失った可能性も指摘されています。もう一つの可能性は経済の長期にわたる低迷でイデオロギーだけでは14億人の民を押さえられないという反発が内部から出ている可能性はあるでしょう。もちろん、トランプ氏に押されまくっている状況も反習近平派からすれば付け入るスキを与えていると言えましょう。
仮に習氏が何らかの形でトップを降りるとします。そのパワーゲームの変化は想像の域を飛び越えてしまいます。習近平氏の独裁型が崩れるなら再び中国国内政治の戦国時代がやってくるわけで混とんとするでしょう。当然、外交にも影響します。最大の注目はアメリカとロシア、及び台湾問題であろうと思います。そのアメリカと目先の関税問題を形式上やってつけてしまったのであとはロシア政策でしょうか。いずれにせよ中国が抱える国内外の問題は奥深く、非常に読みにくい訳で展開次第では激震が走る可能性はあります。