一方で外食は、店舗までの移動、並ぶ時間、栄養の偏り、混雑による精神的疲労など、目に見えないコストがかかる。特に最近は人手不足なのか、先日昼食に牛丼チェーンに入ったら、注文して運ばれてくるまで15分以上待った。もちろん、それで店員さんを責めることなどはしないが、「やっぱり自炊の方がいい」と改めて思った次第だ。結局、牛丼屋に出かけて昼食をとって戻るまでの時間は自炊より倍はかかった。
自炊レベルを上げれば、お金・時間・健康を同時に最適化できるのである。
誤解5:家賃をケチる
正直、家賃は生活費で最も大きな割合になることが多い支出だ。「家賃は安いに越したことはない」と考える人は多く、筆者も20代の頃は選べる中で最安の物件を選んだのでえらそうなことはいえないが、これも危うい節約術である。
家賃は単なる「住むためのコスト」ではない。騒音・空気・住人層(民度)・通勤時間・生活の快適さなど、日常すべてに直結する“生活インフラ”そのものである。実際、家賃を1万円ケチって騒音トラブルや空気の悪さに悩まされ、睡眠の質が落ち、仕事の生産性が下がるようでは本末転倒である。
筆者が東京で住んだ物件は、目の前が首都高で24時間トラックの走る騒音や振動がうるさかった。それでいて日当たりは最悪で、庭に洗濯をするとジメジメで服にカビが生えたこともあった。周囲の治安も非常に悪く、引っ越しをして出ていった後、本当に筆者の住んでいた「部屋」で殺人事件が起きた(大島てるに載っている)。今の自分なら絶対に選ぶことはない物件だが、当時は本当に経済的に困窮して選択肢がなかった。
「安い家賃には、それなりの理由がある」と知っておくべきである。
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節約とは、本来「お金を活かすための選択」であるべきだ。だが、節約することが目的化すると、トータルでは損失が拡大する「悪い投資」になりかねない。もちろん、ムダな出費は削るべきだが、常に「これはトータルだと本当に得なのか?」という視点を忘れてはならないだろう。