■日本人に長年愛される狆、その魅力は…

日本狆クラブは「戦後の狆の保存と普及・発展」を目的に設立された団体。もちろん、会員は狆の愛好家たちが集まっている(狆を飼っていなくても入会可能。動物を飼えなくなった高齢者も、そのまま在籍している)。
そこで続いては、そんな狆の魅力について同クラブの会員たちに話を聞いてみることに。
すると、殆ど全てのオーナーが口を揃えて「体臭が少ない(ほぼない)」「気性が穏やかな子が多い」という点を挙げたのだ。

会員Aさんは「『陸の金魚』と言われている姿は優美で、毛並みは美しく、愛くるしい目をして静かに鎮座している狆にメロメロです!」「お迎えして一番驚いたのは、体臭がほぼ無い点です。手入れを怠れば、耳や口臭は少しはありますが、洋犬のワンちゃんと比較すると、圧倒的に体臭が少ないです」と、その魅力を語る。
「ダブルコート」という被毛の特性上、抜け毛は多くなってしまうが、「柔らかいので、パグちゃん達のように絨毯に刺さって取りにくい…といったこともありません」とのこと。
「頭数が少ないためか、狆の飼い主さんに会うと、お互い必ず声をかけてしまいます。私たちは『狆磁石』と呼んでいます」と、微笑ましいコメントを寄せてくれた。

また、会員Bさんは「白と黒のスッキリした配色は、白黒をつける、紋服の黒と白、鯨幕の色などを連想させ、日本人の心と好みに合うのではないでしょうか。大昔から日本人にかわいがられてきたので、現代においても『かわいがられて当たり前』というような、甘え上手のDNAが組み込まれていると思います」と、分析する。
50年近く狆を飼い続けているが、「他の犬を飼おうと思ったことはありません」とのことで、完全に「狆一筋」であることが窺えた。

日本人にとって「心の原風景」のような存在と言える狆。そのかわいらしい姿を見て、遺伝子レベルでの「懐かしさ」を感じた経験がある人も多いのではないだろうか。