■日本狆クラブの初代会長、とんでもない大物だった…

日本狆クラブの初代会長は、旧皇族・東久邇盛厚(盛厚王)氏。

そして2代目会長は、久邇宮朝彦親王の三女・安喜子女王を母に持つ、旧岡山藩池田家第15代当主・池田宣政氏。

その後を継ぐ3代目会長は宣政氏の息子であり、昭和天皇と香淳皇后の第4皇女・池田厚子(順宮厚子内親王)氏の夫・池田隆政氏である。

これらの事実から分かるように、じつは狆という犬種は、日本の皇族と深い繋がりがあったのだ。

狆
(画像=『Sirabee』より引用)

日本狆クラブの担当者は「長らく天皇家・皇族に飼われていたので、『国犬』と呼ばれているのだと思われます」「狆が天皇陛下の御簾の前の座布団の上に静かに座っていることから、『鎮座』という言葉は『狆が座っている様子にかけている』とも言われています」と、説明していた。

ちなみに、狆という名前は天皇の一人称「朕」にかかっているという説もあるそう。

狆
(画像=『Sirabee』より引用)

現在では犬を飼育する場所は「室内」が常識となっているが、そうした意識が高まり出したのはここ20年ほどの話。しかし、さらに大昔の400年前から「室内犬」として愛されてきたのが狆なのだ。

『千代田の大奥 狆のくるひ』
(画像=『Sirabee』より引用)

幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師の楊洲周延(ようしゅう・ちかのぶ)が、江戸城大奥の年中行事や奥女中たちの生活を描いた『千代田之(の)大奥』シリーズには「狆のくるひ」という作品が存在し、豪華な薬玉にじゃれつく2匹の狆が描かれている。

『千代田の大奥 狆のくるひ』
(画像=『Sirabee』より引用)

日本狆クラブの担当者も「江戸時代に室内(畳の上)で飼われていた犬は、狆だけです」と、強調していた。

『千代田の大奥 狆のくるひ』
(画像=『Sirabee』より引用)

そんな背景もあり、歴史ドラマの作品では狆がしばしば登場している。日本狆クラブではこうした演出に多数協力しており、担当者は「私が飼っていた初代の狆はドラマ『坂の上の雲』で松たか子さんに抱かれ、3代目の狆は2023年のドラマ『大奥』で仲里依紗さんに抱かれ、撮影に協力しました」と、笑顔で語ってくれた。