さらにCDSが深刻な場合だと、活動力も低下し、何事にも無関心になって、引きこもりになるリスクもあるという。

社会生活を送る上では、ADHDとCDSはよく似た不利な特性があります。そのため混同されやすい面を持ちますが、症状としてはまるで異なります。

CDSにはADHDのように、自分の好きなことには過度な集中力を発揮できるということもないのです。

「CDSの知名度が低い」ことが問題

CDSがADHDと間違われやすい原因の1つは、CDSを定める公的な基準がまだ存在していないため、診断が困難な点があげられます。

一部の心理学者は、質問票と行動観察を組み合わせて、「頻繁な空想、頭の中がボンヤリする、処理速度が遅い」などの程度を評価することでCDSの診断を行っています。

しかしCDSと判断できても、症状をサポートして改善するための治療法も確立されていません。

認知行動療法によって最良の対処法を身につけたり、ADHDに使用されるのと同じ治療薬が有効との意見もありますが、まだエビデンスは得られていないといいます。

「CDSの認知度が低い」ことが問題
「CDSの認知度が低い」ことが問題 / Credit: canva

そして最大の問題は「CDSの知名度が非常に低いこと」と専門家は指摘します。

CDSはADHDに比べると社会的な認知度が低く、今回初めて聞いたという方も多いでしょう。

そのせいでCDSは他の症状と混同されて正しい治療がされなかったり、悩みが理解されずに「単にだらしないだけ」とか「努力が足りないからだ」と批判されやすいのです。

そこでCDSの病理を根本から理解し、原因の究明や治療法の開発を進めることが、症状に苦しんでいる人を支援する上で急務だと考えられています。

おそらく、CDSが一般に認知されていないために、隠れCDSの人が世界中にたくさんいるはずです。

専門家らは「CDSはもっと注目されるべき疾患であり、ADHDとは分けて考えるべきでしょう」と話しています。