一方、実際の育児場面では、赤ちゃんの夜泣きに対応する回数は、母親のほうが父親の約3倍多くなっていました。
研究者たちはこれを「聴覚の差」では説明できないと結論づけています。
つまり少なくとも、音量が一定以上であれば、男女の反応には大きな差はなく、「女性は本能的に赤ちゃんの声に反応する」という事実は存在しない可能性が高いのです。
これは夜中に赤ちゃんが泣いた場合、なかなか男性側が対応してくれないという問題や印象に対して生まれた通説であり、実際は聴覚の問題ではなかったということになるのでしょう。
こうした育児経験者の体験談や印象による話しが、いつの間にか科学っぽい通説になってしまったというのが「男性は赤ちゃんの声に気づきづらい」「女性は母性で赤ちゃんの声を察知しやすい」という話の真相のようです。
今回の研究は、「聞こえるかどうか」は性別で決まるものではなく、むしろ状況や意識の違いによって左右される可能性の方が高いことを示しています。
赤ちゃんの泣き声をきっかけに反応する覚醒機能は、男女どちらにも等しく備わっています。そう考えると、これまでとは少し違った目線で育児をとらえ直せるかもしれません。
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参考文献
Myth busted: Study finds men don’t sleep through baby cries after all
https://medicalxpress.com/news/2025-07-myth-men-dont-baby-cries.html
元論文
Men and women’s waking patterns to infant crying: Preparenthood differences are insufficient to explain uneven sharing of nighttime care
https://doi.org/10.1037/emo0001478