このような神経化学的な働きこそが、今回の認知機能の向上に関わっていた可能性があると考えられています。

また今回、視空間記憶(空間上の物の位置や順序を記憶する力)が改善したという結果は、ペパーミントによる効果としては過去の研究にあまり見られなかった新しい発見です。これは今後さらに研究されるべき項目になるでしょう。

もちろん、この研究は参加者が25人と比較的少人数であり、また実験は一度きりの短時間で行われただけなので、データとしては小規模であり、効果の持続時間や毎日飲んだ場合にどのような変化が起きるのかといった長期的な影響については、明確に示せていません。

さらに、ペパーミントにはメントール以外にもさまざまな化合物が含まれており、どの成分がどのように脳に作用しているのかを詳しく調べることも、今後の課題となります。たとえば、リモネンやメントンといった成分も、脳内の神経活動や血流に影響を与える可能性があります。

とはいえ、今回の研究は、「一杯のお茶が記憶や集中に作用する可能性がある」という事実を裏づける一歩となりました。

コーヒーが苦手という人は、ペパーミントティーを選択肢に入れてみるのもいいかもしれません。

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参考文献

Peppermint tea boosts memory and attention—but why?

Peppermint tea boosts memory and attention—but why?
https://www.psypost.org/peppermint-tea-boosts-memory-and-attention-but-why/

元論文

A Randomized Placebo-Controlled Clinical Trial Exploring the Short-Term Cognitive and Cerebrovascular Effects of Consuming Peppermint Tea: A Mediation Study
https://doi.org/10.1002/hup.70005