低所得者層に恩恵があるチップ税廃止などにも触れていないし、1千数百万人がメディケイドから外れるというのも民主党と同じ主張だ。が、ベッセントはCNNのインタビューで、その論は貧しい人々を「赤子扱い」するものだと一蹴した。「OBBB」の下でも、週20時間のボランティアと年二回の登録でメディケイドを享受できるのだから、1千数百万人をそれすらできない赤ん坊と見做しているという訳である。彼は何ともスマートだ。

以上で判るように、トランプ政権の「OBBB」と石破政権の政策は真逆である。すなわち、トランプの政策が、メディケイド受給者なども含む米国民の底力を信じ、減税や関税(に伴う製造業の国内回帰)をその力を引き出す原資に充てるのに対し、石破氏のそれは、国民を知恵も力も意欲もない「赤子扱い」し、国民から目先の金銭(=租税)を搾り取るのに躍起になっているのである。これのどこが「将来に責任を持つ」政策か。

トランプから先般発せられた関税に係る書簡ついて、石破氏は「国益をかけた戦いだ。なめられてたまるか。たとえ同盟国であっても正々堂々言わなければならない。守るべきものは守る」と述べた。小野寺政調会長も「トランプ、ひどい人です。あまりにひどい仕打ちだ」といった。「バッカじゃなかろか」といいたい。鉄血宰相ビスマルクすら「政治とは妥協の産物であり、可能性の芸術である」といっている。徒手空拳でトランプと喧嘩できるのか。

それの言い訳に石破氏は、「安保においても、エネルギー・食料においても、米国依存からもっと自立するよう努力しなければならない、ということだ」と現状を認めながら、「『いっぱい頼っているのだから言うことを聞けよ』ということならば、侮ってもらっては困る」と述べてバカの上塗りをした。ならば、面と向かって「なめるなよ」といえるのか。見苦しい内弁慶の遠吠えは大概にして欲しい。

そもそもどうやって「米国依存から自立する」というのか。安保破棄を申し出るつもりか。ならば参院選の公約に加えよ。今般の関税交渉で、経済と安全保障を切り離す愚を早々と犯した張本人は石破氏ではないか。「日米両国の国益」などと御題目を唱えるが、武器購入こそ「究極のWin Win策」だ。これを切り離したら、米国から買って我が国の国益に適う「財」は、「石油・天然ガス」と「コメ」くらいしかなかろう。