その石破・森山自民党執行部は目下の参院選に、「消費税を守る」と述べ、言外に「国民の生活は守らない」と宣言して臨んでいる。消費税減税を主張する野党に対し、石破氏は財源を示さないのは無責任だとしつつ「この国の将来に責任を持つ」と宣うた。「この国」との物言いは、悪名高い司馬史観の生みの親が著した『この国のかたち』を彷彿する。「我が国」といわないこと自体が無責任であろう。

国民民主党は参院選の公約に、賃金上昇率が物価プラス2%に安定するまで、との期限付きで消費税率5%を主張、「178万円の壁」打破と合わせ手取りを増やし消費拡大による景気浮揚を目指す。5W1Hが明確で、規模は違えど「OBBB」と似る。財源はガソリン暫定税廃止などとするが、景気回復までは国債で賄えば良い。政府の役割は「消費税を守る」のではなく、効果の見えない歳出のカットと景気浮揚だ。経済が上向いてこそ、4年連続の税収上振れが一層加速し、「将来に責任が持てる」のである。

話を「OBBB」に戻せば、その狙いは、6月7日の拙稿で述べた通り、本年末期限のトランプ減税の恒久化とチップ税廃止などで勤労世帯と中小企業に追加減税を提供しつつ、富裕層や不法移民などへの減税措置を終わらせ、かつ米国における投資と製造業に報奨を与えて景気を浮揚することだ。そのための財源に、当面は関税収入や「DOGE」による歳出削減分、そして国債を充て、然る後に景気上昇に伴う税収増で債務を減らす算段である。

が、このところ減税財源としての国債発行を牽制する論調の目立つ『日経』は7月8日、左寄り経済誌『The Economist』記事の全訳を載せた。中身は「OBBB」の財政規律を無視した大型減税や気候変動原理主義を廃した化石燃料回帰の批判だ。例えば、17年のトランプ減税の恒久化は現状の維持だから景気浮揚効果がないなどとある。が、この減税のお陰でこれまで好景気が維持できたのだから、なくせば来年からその分が増税になって、景気の減速要因になるだろう。