筆者は資産形成の観点からも、新築物件の購入を早々に選択肢から外していたが、内覧を進める中で「新築は外国人が買い、日本人は中古に甘んじる」という構図が垣間見え、複雑な感情を抱いた。

このような状況は、今後の地方都市の住宅価格に大きな影響を及ぼす可能性がある。地域に溶け込もうとする個々人の姿勢とは別に、マクロで見れば「日本人が新築に手が届かなくなる構造」が着実に進行しているといえる。

日本は、グローバル競争において“強さ”ではなく“緩やかさ”という魅力で人を惹きつけ始めている。これは国際的に見れば稀有なポジションであり、いまや日本は「戦いに疲れた優秀な人材が休息しながら力を発揮する国」としての役割を担い始めているのかもしれない。

外国人富裕層が日本の地方都市に根を張ることで生まれる影響は、経済、教育、文化の各側面に波及していく。その変化をいかに受け入れ、共に築いていくかが、これからの地方都市に問われるテーマとなろう。

 

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