そして今住んでいる物件を手放す理由は「もっといい物件に引っ越したいから」という。その価格は2億5000万円ほどで九州の地方としてはかなり割高である。近所のオーナーは外国人だらけであり、みな新築で家を買った人ばかりだといっていた。
確かに1億円から2億円後半の価格レンジでは一般の日本人にはなかなか手が出ない。

物件内覧中の様子(撮影許可取得済)
国際化する住宅街と教育環境
そして彼らからは「お金に物を言わせて乱暴に日本の不動産を買い漁り、地域を不安に陥れている」という感じはしなかった。一部の地域においては地元住民と衝突もあるという報道をよく聞くが、少なくともこの地域ではそういう話はないと彼も不動産業者も口を揃える。オンライン上にもそうした声は一切ない(このエリアは高い物件ほど、外国人オーナーが多いということも内覧時に初めて知った)。
外国人である彼らも地域行事や清掃活動にも積極的に参加し、「日本のコミュニティに溶け込もう」という意志がはっきりと見えた。「ここに引っ越すと年に3回、清掃活動やイベントがあるから参加が必要だよ!うちは家内が毎回熱心に参加した」とか「近所のみんなも張り切ってるから結構楽しいよ」と笑顔いっぱいに教えてくれた。
また、子供を通わせる学校を複数見学をした際にも、どのクラスにも3〜4人は外国籍の児童が在籍していると教師から聞いた。親は総じて高学歴が多く、医師やITエンジニア、経営者が中心で、いくつも塾や習い事をさせて学校には日本語教室も併設されているという。そしてこれは私立学校ではなく、公立の小学校の話だ。
「インターナショナルな環境」は東京や大阪だけではないのだと感じた。

物件内覧中の様子(撮影許可取得済)
高まる不動産価格と“構造的な格差”の兆候
だが、手放しで歓迎できる変化ばかりでもない。
実際、筆者が話を聞いた不動産業者は、「2億円超の新築物件は、ほぼすべて外国人が購入済」といった。さらに、これから建設中の住宅街ですら完成前にあっという間に完売、その購入層もやはり外国人富裕層であるという。SUUMOなど一般ポータルサイトに載る前に売り切れてしまうようだ。