「すると、お前、目標ナシのその場しのぎの経営をするのか」と思われるでしょう。逆です。もっと長いスパンの会社や手持ち事業の将来像をもう少し抽象的な観点で捉えることでベクトルは外さないように心がけ、目標数値は年次計画に謳い込むことで中長期的な数字設定をやめたのです。

例えば書籍事業は2019年12月に始めたのですが、買収当時「書籍は電子化される、よってこの事業は3年で投下資本を回収する」と設定していたのです。あれから5年半たちましたが電子書籍化の大きな波は来ておらず、いまだに教科書卸事業は健在であります。

我々の住む現代はテクノロジーとの競争になっています。より便利で効率的になり、それが新たなトレンドになると誰も疑うことはありません。そんな中、最近あるアメリカの記事に接し、「あぁ、やっぱりこの業界も反動が押し寄せたな」と思ったのです。それはオンライン デート業界の売り上げが軒並み下がっていること。今やデートや結婚相手はマッチングアプリで探してもらうのが当たり前かもしれません。だけどコンピューター程進化していない人間様が「なんか違うよな!」と気がつき始めたのでしょう。

こうなると今のスタンダードが10年後にどうなっているかなど想像すらできないのです。絶対はあり得ないのだという前提に立つと5年、10年先の数値目標は意味がなくなるのです。

何歳であろうと大事なことは判断力と実行力をどれだけ維持できるか、です。私は即断即決に近い方だと思います。会社勤めの時、稟議というまどろっこしい仕組みに辟易とし、不動産事業に携わっていた際、上司からは「稟議は同意者に一人ずつ手で持って廻って同意のハンコを頂くものだ」と教えられ、挙句の果てに3人だけの特命係の際には稟議は後付けという世界になり最後は独立したので稟議書から解放されたのです。その際、思ったのは判断はその時々の環境により変わることはある。自分が頑なになり過ぎず、よりフレキシビリティを持ち、どんな話にも対応できるようにすることが重要だと思っています。