それだけならまだいいが、問題はここからだ。待つことができなければ、長期的に努力を積み上げて達成感を得るという人生の楽しみ方が非常に難しくなる。

勉強や仕事といった活動は長期的な取り組みだ。そうすることで、数日では到底成し遂げられなかった人生の大きなプロジェクトである。だがスマホでこれが破壊されると、すぐ結論が出る活動以外にできなくなる。そうなれば人生は一切拡張せず、時代は変化し自己研鑽意欲の高い人との格差要因になってしまう。

3. スキマ時間

スマホはいつでもどこでも好きな時に好きなだけ使える。そのことによって、「何もしない空き時間=悪」と考える人が増えたように思う。結果、スキマ時間をスマホで塗りつぶすようになった。

これの何が悪いのか?脳はデフォルトモード・ネットワークといって、何もしない時間に記憶の整理や発想をする。脳を働かせた後は何もしない時間を作ることで、バックグラウンド処理をさせることが必要だ。

しかし、本来脳の処理をさせる時間にSNSやニュース、動画のインプットをするとその作業ができなくなる。すでに仕事や勉強で脳はクタクタに疲れているのに、無理やり働かせることになるのでパフォーマンスも低い。

筆者はスマホは仕事以外では使わないようにし、代わりにPCを使う。意識して外部からの情報入力をしない空き時間を作ることで、仕事のアイデアが降臨することはよくある。いつも画期的なアイデアは仕事が終わった後にウォーキング中や、車の運転中に降りてくる事が多い。

脳のバックグラウンド処理をじゃまするべきではないだろう。

4. リアルなコミュニケーション

人間は本来、他者とのコミュニケーションなしには生きていくことは難しい。ところがSNSにいけばうじゃうじゃと人がいるので擬似的なコミュニケーションで満足する。それにより、リアルな人間関係が希薄なってしまったという弊害もあると思っている。

たとえば飲食店や旅行先へ行くとわかるが、友達と思しき相手が目の前にいるのにスマホをポチポチ触る人が少なくない。食事が運ばれてくれば写真を撮り、SNSに投稿する。他人をじっくり観察するわけにはいかないが、SNSでこうした投稿が多いことを見れば分かる。つまり、彼らはリアルの友達と一緒にいても、意識はオンラインにいるのだ。