このことは、当時のオオカミが肉食に偏らず、雑食傾向のある生き方をしていたことを示しています。

では、「人間との関係」はどうだったのでしょうか?
研究者たちは、胃の内容物にマンモスの痕跡がなく、周囲にも人間由来の道具や接触の明確な証拠が確認されなかったことから、「2頭が人間に飼われていたという確かな根拠は見つからなかった」と結論づけています。
1万4000年前、おそらく彼女たちは、巣穴の中で食事を終え、休んでいたのでしょう。
そして何らかの地滑りや土砂崩れにより生き埋めとなり、永久凍土に包まれて奇跡的な保存状態で現代まで残されたのです。
この発見は、単に「トゥマト・パピーは飼い犬ではなかった」ことを示すにとどまりません。
これまでイヌの特徴と思われていた「黒い毛」も、実はオオカミに存在していた可能性があることがわかったのです。
つまり、黒毛=犬化のサインという古くからの仮説も再考を迫られています。
イヌの起源をめぐる物語は、より複雑で、より深いミステリーになりつつあるのです。
それでもいつか、人類とイヌが出会った瞬間が明らかになる日が来ると、私たちは信じています。
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参考文献
Famous Ice Age ‘puppies’ likely wolf cubs and not dogs, study shows
https://www.york.ac.uk/news-and-events/news/2025/research/ice-age-puppies-likely-wolf-cubs/
Famous Ice Age ‘puppies’ likely wolf cubs and not dogs, study shows(EurekAlert)
https://www.eurekalert.org/news-releases/1086950