海老名市を前面に押し出し、「SC」を後に置くモダンな名称。カタカナ表記を採用した「エビナ」は市民に親しまれる呼称で、新たなファン層の獲得に効果を発揮する可能性が期待できる。海老名駅周辺の商業エリアを活用したマーケティングにも適するが、相模原市との歴史を切り離すため、ある程度のハレーションは覚悟しなければならないだろう。しかしSNS上では「SC相模原のサポーターは首都圏クラブで最も少ない」との声もあり、新規ファン開拓の必要性が指摘されている。

さがみ+○○(○○は市民公募)

「さがみ」に市民公募の愛称を組み合わせる案で、過去、数多くのJクラブが採用してきた手法だ。北海道コンサドーレ札幌(「道産子」を逆さ読みした上でオーレを足した)や川崎フロンターレ(「正面」を意味するイタリア語)のような地域+理念型の名称で、未来志向のブランディングが可能だ。ただし、「SC相模原」の名残が消え、ブランド定着には時間が必要。J3ザスパ群馬は複数回の名称変更を経て、現在は群馬県全域をホームタウンとし、ベイシアグループ傘下で安定した経営を築いた例として参考になる。


移転と名称変更の意義

ホームスタジアム移転は、クラブの経営戦略と地域コミュニティとの関係性を再定義する機会だ。V・ファーレン長崎は2024年10月に長崎市へ移転し、総事業費約1,000億円の「長崎スタジアムシティ」を民間資金で建設した。SC相模原も海老名市との連携で、新スタジアムを地域振興の核とする可能性がある。

また、チーム名はクラブの存在意義と未来ビジョンを象徴する。海老名市への移転を機に、ファンや地域との新たな共創を目指してほしい。