さらに小胞の分泌を阻害すると、脂肪分解に必要な遺伝子の働きが増加しなくなることも示されました。
仕組みを偽造すれば休みながら有酸素運動ができる

今回の研究により、無酸素運動が休んでいる体に有酸素運動のような状態(アフターバーン)を引き起こす仕組みの一端が解明されました。
機械的な過負荷運動を行うと、筋肉細胞から脂肪燃焼の命令書を含んだ小胞が分泌され、脂肪細胞が受け取ることで、脂肪の燃焼がはじまっていたのです。
脂肪の燃焼によって生じたエネルギーは、筋肉や血中に含まれるエネルギーの再充填や筋肉繊維の再生と肥大に転用されると考えられます。
また将来的に過負荷運動後の脂肪燃焼の仕組みが解明され、再現することが可能になれば、誰もが休みながらにして有酸素運動状態になれる「アフターバーン薬」のような究極のダイエット薬ができるかもしれません。
もしかしたら未来の世界では、減量トレーニングは寝ている間に行うのが常識になっているかもしれませんね。
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参考文献
How weight training instructs cells to enter fat-burning mode
https://newatlas.com/medical/weight-training-cells-fat-burning-mode/
元論文
Mechanical overload-induced muscle-derived extracellular vesicles promote adipose tissue lipolysis
https://faseb.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1096/fj.202100242R
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。