そして安全性の面でも注目すべき成果があります。

磁性ナノ粒子と磁場は、MRIなどの医療機器で既に使用されている技術であり、臨床的な安全性が高いと考えられています。

今回の実験でも、長期間にわたる磁場の刺激が、移植細胞の生存率や周辺組織に悪影響を与えることはありませんでした。

今後の研究では、ナノプーリング技術の実用化に向けて、生きた動物個体の中で長期間にわたる効果や安全性を評価することが重要になってきます。

さらにナノプーリング技術は、中枢神経系の他の損傷・疾患にも応用できる可能性があり、その展開が期待されています。

「神経細胞の成長を磁場でコントロールする」

この画期的な技術は、失われた機能を回復させる新たな希望として、未来の医学に革新をもたらすことでしょう。

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参考文献

磁石で脳細胞を誘導し失われた神経回路を再構築する
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/250707-130000.html

元論文

Mechanical Forces Guide Axon Growth through the Nigrostriatal Pathway in an Organotypic Model
https://doi.org/10.1002/advs.202500400

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部