すべては脳の仕業?「パレイドリア」という心理現象

 しかし、誰もが宇宙人説に賛同しているわけではない。UFO研究家のフィリップ・マントル氏は「古代の地球に宇宙人が来た証拠などない。これは、ドクロのように見えるただの自然な岩石層だろう。雲の形が顔に見えるのと同じさ」と、より冷静な見方を示す。

 実は科学者たちも、この現象にはもっとシンプルな説明がつくと考えている。それは「パレイドリア」と呼ばれる心理現象だ。

 これは、雲の形や岩の模様、建物のシミといった、本来意味のないランダムなパターンの中に、顔や動物など、見慣れた形を見出してしまう脳の働きを指す。リンカーン大学で顔認識を専門とするロビン・クレイマー博士は、こう解説する。

「私たちの顔検出システムは、顔を見つけることに非常に長けている。顔がある場所で見逃すより、顔がない場所でたまに顔を見てしまう方が、生存には好都合だったのです」

Googleマップに浮かぶ謎の「巨大ドクロ」、その正体は宇宙人の証拠!? しかし…の画像4
(画像=画像はUnsplashのLudovico Ceroseisより)

なぜ人は岩や雲に「顔」を見てしまうのか

 私たちの祖先にとって、敵や味方を素早く見分ける能力は死活問題だった。茂みを仲間と見間違えるのは勘違いで済むが、忍び寄る敵を見逃せば命取りになる。

 マッコーリー大学の心理学者、ケビン・ブルックス教授は、「私たちは、何となく顔に見えるものを、そうでないと証明されるまでは顔として分類する傾向がある。その方が安全だからだ」と述べる。この生存戦略が進化の過程で脳に刻み込まれ、現代の私たちにも受け継がれているというわけだ。

 つまり、カナダの海に浮かぶドクロも、私たちの脳が持つ優れた「顔探し能力」が、砂州の複雑な模様を勝手に解釈してしまった結果、と考えるのが最も自然なようだ。

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(画像=Image byThomas BudachfromPixabay)