また、ゴールとはならなかったが、レノファ山口戦でもMF近藤友喜が右サイドのポケットから供給したセンタリングに対し、マリオが触っていればゴール確実というシーンも見られ、「ボックスストライカー」に相応しい動き出しとポジショニングの良さが窺える。山口戦の後半、シュート数が一向に増えなかった札幌だが、マリオ投入後は攻撃が活性化しフィニッシュに繋がる場面が明らかに増えた。
違いを見出せるFWとして、チーム髄一のポテンシャルを感じさせてくれたマリオ。“スーパーマリオ”としてチームをJ1昇格に導くことが期待される。

4.西野奨太の覚醒
今シーズンの札幌を語る上で外せないのがDF西野奨太の覚醒ではないだろうか。札幌のアカデミーで育った西野は、高校2年生だった2021シーズンにクラブ史上初となる飛び級でのプロ契約を締結。同年11月にはクラブ史上最年少となる17歳183日でJ1リーグデビューを果たした。
しかし出場機会が限られ、2024シーズンはJ3のカマタマーレ讃岐に期限付きで移籍。シーズン途中の移籍にも関わらず、センターバック(CB)として13試合に出場し、守備の要として活躍した。
札幌に帰還した今シーズン序盤は、讃岐での経験を活かすべくCBで出場する試合が多かったが、最終ラインの連係ミスなどもあり多くの失点に絡んでいた。宮と浦上が加入した6月以降はボランチを主戦場としている西野だが、どこか伸び伸びプレー出来ているように見受けられる。危険と察知したエリアにことごとく顔を出してボールを刈り取るシーンや、高いパス精度で攻撃を展開するなどボランチとしての才能が開花し今やチームに欠かせない存在になっている。試合数と共にレベルアップする21歳が、J1昇格を手繰り寄せるかもしれない。