が、開示命令の一連の手続における裁判官の判断が【実質的な要件緩和】となっていないか?という点は、検証されるべきでしょう。

ちなみに、本件では、開示命令に対する異議訴訟がGoogle側から提起されましたが、それは後に取り下げられています。

参考として、現・情報流通プラットフォーム対処法の前身である旧・プロバイダ責任制限法の関連する部分(現行法でも変わりない部分)の総務省による逐条解説を以下載せておきます。

プロバイダ責任制限法逐条解説 2023 年3月 総務省総合通信基盤局消費者行政第二課

14 ただし、プロバイダ等が任意に開示した場合、要件判断を誤ったときには、通信の秘密侵害罪を構成する場合があるほか、発信者からの責任追及を受ける場合もあることから、慎重な検討が必要となる。他方で、裁判例等も踏まえ、プロバイダ等が開示要件を満たすと判断した場合には、裁判外の開示に応じることとなる。

「明らか」とは、権利の侵害がなされたことが明白であるという趣旨であり、不法行為等の成立を阻却する事由の存在をうかがわせるような事情が存在しないことまでを意味する。もっとも、発信者の主観など被害者が関知し得ない事情まで被害者に主張・立証責任を負わせるものではない。したがって、発信者が合理的根拠を示して開示に反対しているような場合には、開示関係役務提供者において開示を請求した者の権利が違法に侵害されたことが明白であるとの確信を抱くことができる場合は多くはないであろうから、不当に開示の範囲が広がることはないものと考えられる。なお、この点についての要件判断を誤って開示に応じた場合には、開示関係役務提供者は、場合によって民事上、刑事上あるいは行政上の責任を問われることになるので注意を要する。

1:陳述前訴状だとしても、公開範囲は極めて限定的であり、且つ、公開部分は「当事者」の項という事案の同定に不可欠の部分であること、国政政党の名前の使われ方自体が一つの事件を構成していることから、著作権法41条「報道の目的上正当な範囲内」での利用である 2:匿名活動の利益 *3:プロバイダ責任制限法逐条解説 2023 年3月 総務省総合通信基盤局消費者行政第二課