日本には現在、喘息持ちの患者さんが約450万人いるとされています。
そして喘息を起こす主原因となっているのが「ハウスダスト」です。
ハウスダストは屋内のホコリなどを指しますが、中でもダニやその死骸、フンが主要なアレルゲンとなっています。
そうした背景の中、カザフスタンのアルマトイ工科大学(ATU)は新たな研究で、喘息持ちの救世主になるかもしれない食材を発見しました。
それが「ラクダのミルク」です。
今回の実験では、ラクダ乳が喘息の炎症や過敏な気道反応を抑える働きを持つことが明らかになりました。
研究の詳細は2025年6月27日付で科学雑誌『PLOS ONE』に掲載されています。
目次
- ラクダ乳が喘息持ちの救世主に⁈
- ラクダ乳はなぜ効いた? 砂漠のミルクに秘められた力とは
ラクダ乳が喘息持ちの救世主に⁈
ハウスダストとは、室内に漂うチリや繊維くず、動物の毛、フケなどの総称ですが、その中でもとりわけ喘息やアレルギーの引き金になるのが「ハウスダストダニ」です。
目に見えないほど小さなこの生物は、布団やカーペット、クッションなどの中に潜み、人間のフケや垢を食べて生きています。
特に温暖で湿った環境を好むため、日本の家庭では年中無休で活動しており、どんなに掃除をしても完全に排除することはできません。
こうしたダニの死骸や排泄物は、気道を刺激してアレルギー反応を引き起こし、喘息の発作へとつながります。

ラクダ乳がもたらした驚きの効果
今回の研究では、ハウスダストダニによる喘息を人工的に引き起こしたマウスに対し、ラクダのミルクを与えるという実験が行われました。
研究では、マウスを次の3つのグループに分け、経過を比較しました。
・ダニで喘息を誘発したマウス
・ダニで喘息を誘発した上で、ラクダ乳を与えたマウス
・何もしない健康なマウス(対照群)
すると、ラクダ乳を摂取したマウスでは、ダニによる気道の過剰な収縮反応(いわゆる気道過敏性)が明らかに抑制され、咳や息切れの原因となる炎症性細胞の集まりも減っていたのです。